2010年01月31日

(読書録)宮台真司『日本の難点』

【読んだ日数】4日間程度

【きっかけ】
以前からブログやポッドキャストを通じて著者の論に触れていて、
いちど本という形で読んでみたいと思っていたため。
ちょうど最近、現在の社会問題を総覧的に扱っていてかつコンパクトな新書が出ていて、しかも図書館に入っていたため。


【感想】
ブログはまだしも、一般視聴者向けのポッドキャストを聞いた限りでは複雑な事象を非常にわかりやすく説明するひとだ、という印象があったのだけど、
この本については、一定の難解さが残されていたため、本当にゆっくりじっくり読み進めることになった。
(あとがきを読むと、それは確信犯であることが判る)

しかし、ひとつひとつの論点に対して
・どこが「難点」なのか
・どう解決すべきか(という主張)
・それを述べた根拠と議論上の立ち位置
はほぼ明確にされており、
さらに自在に抽象度を操り(ここが凄い)、必要に応じて時間や空間を超越して論じるスタイルによる切り口は鮮やかでハッキリしている。


社会システム論というと、個人的には大学1年次に、ウォラーステインを通読しようとして挫折した思い出があるのだけど(…)、
それに比すればやっぱり判りやすい…んだろうなぁ、、と思わざるを得ない。

また日米構造協議のあたりは個人的に調べた経験があったためわかりやすく感じた。
それを考えると、これが「わかりにくい」とすれば、それは単に著者と読者の前提知識・事前思考蓄積量の圧倒的な差を埋める解説を、キリがないから端折ったために生じたもの、と言うことができるのかなぁ、と思ってしまった。

正直、いちど通読しただけで理解しきれたとはとても思えない。
以下にピンと来たポイントをメモして残しておこうと思う。


【印象に残ったこと】
(※私自身の考えとは関係なく、本文の引用と趣旨主張のメモ)

■第一章 人間関係はどうなるのか
・「ウォラーステインは二〇年前に、覇権国家ないし帝国の盛衰を「製造業→流通業→金融業」という転換で記述しています。」
 →現在、これは米国にあてはまる。つまりこの流れは予想できた。
・憲法9条問題:軽武装対米依存から、重武装対米中立へ、9条は変える必要あり。

■第二章 教育をどうするのか
・「インターネットの最大の問題は、「匿名サイトで事件に巻き込まれる可能性」よりも「オフラインとオンラインとにコミュニケーションが二重化することによる疑心暗鬼」とそれがもたらす日常的コミュニケーションの変質」
・世論=サイレント・マジョリティ、クレーマー=ラウド・マイノリティ(のケースが大半)
・「政治家からの圧力に屈することとクレーマーからの批判的発言にびくびくすることは、反民主的・反平等的であるという構造において、同じ」
・「緊急避難的には<システム>の過剰に見える導入は、たとえば生徒同士や生徒と教員の間の暴力沙汰に警察の介入を求めることも含めて不可避ないし不可欠」butシステム依存でなく「<生活世界>の再構築」必要
・「本当にスゴい奴」とは?:人間はエゴイスティックな人間に凄さは感じない。初期ギリシア(プラトン)の言う「ミメーシス(感染的模倣)」を周囲に生じさせるか否か
・感情的・感覚的な幅は他人を幸せにし、さらにそれを通して自分を幸せにする為に必要(b/c.他人の置かれている状況や、それが彼らに与える影響を理解できる)。
・↑は、知的な幅とは違って成人後は容易に変えられない。
・生育環境の善悪による「階級的ハビトゥス」はとっくに生じているが、社会的包摂に満ちていれば、「生まれの偶然」がもたらす不均衡を予防できる

■第三章 「幸福」とは、どういうことなのか
・人々がどんな選好構造を持つかでパレート最適が社会的にも反社会的にもなる
 →市場が反社会的にならない為に:人々に一定の価値観(内発性)を埋め込む必要
・人の為す区別は必謬性をもつ。b/c.@境界設定の恣意性、A因果関係の恣意性
・(↑Aとは?):「無限に続き拡がる因果の中から、人は恣意的に一部を切り取り「あれは良かった」「これは悪かった」と思いがちです。でも、「世の摂理は人知を超える」。人知を超えた時間の中で、善は悪を生み、悪は善を生む」
・自殺の要因の因果性(実証分析):@病気や怪我→A会社を辞めるか休養→B収入が絶たれる→家族的・地域的・会社的人間関係から見放される→D相談相手のいない状況で生活にいきづまる
・ネオリベ(市場原理主義)=小政府&小社会
 新自由主義=小政府&大社会(包摂)
・厳格なゾーニングで隔離すると不安増・神経質に→多様なものの共生を

■第四章 アメリカはどうなっているのか
・(オバマ演説の上手さ):Youは呼びかけられた人全員が対象、Weは「黒人」「女」「リベラル」などの属性が対象となる
・高度技術(ICT・バイオ)は「集積効果」の実現可能性をもつ(b/c.非同化主義)米国が優位
・日本の官僚内閣制がダメになった理由:地域共同体の空洞化+党本部機能(=地域からの吸い上げ)壊滅
・米軍基地を許容し続けるのは「アリ」(butいつでも重武装対米中立化できる準備が必要)
・↑のために必要:@米国を怒らせない政策Aアジア諸国を怒らせない政策B憲法改正・文民統制のための民度上昇対策
・現代のリスクはすでに予測不能・計測不能・収拾不能(原子力、遺伝子組み換え、金融...)

■第五章 日本をどうするのか
・法の専門家不在・同害報復(原初的社会)→社会の複雑化→何がどれくらいの罪かの合意が困難に→法専門家分出
・就職:「仕事での自己実現」が過剰に追求されている。しかもその自分探しは、ただのカッコつけに終わっている場合が多い(カッコいいと思われたいからカッコいい企業に就職)。
・近代は再帰的(選択の前提もまた選択されてる)。これに気づかない(=モダン)→気づく(=ポストモダン)
・「市民が、想像の共同体である国家に直接コミットするということは、社会学的にはあり得ません」
 →必ず何らかの装置が働いている。日本は「近接性」
・「宗教〔米〕であれ階級〔仏・伊、英〕であれ血縁ネットワーク〔中・ユダヤ〕であれ、承認を与えてくれる感情的安全の場がなければ、世界貢献へのチャレンジは(一般には)あり得ない」
・農業の高齢化・耕作地放棄→専業農家への補助金政策が必要(b/c.土地1単位当たりの収益性が農業は低いから)


日本の難点 (幻冬舎新書)
宮台 真司
幻冬舎
売り上げランキング: 9537
おすすめ度の平均: 3.5
4 新書にしては不親切かも。
4 多少の事前知識があれば・・・。
5 援交率の高さと自殺率の高い地域が一致していた、という指摘は凄かった(p.133)
4 現代社会を包括的に捉え複雑な事象を紐解いている
3 初ミヤダイの方はご注意

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(読書録)水野敬也、小林昌平、山本周嗣『ウケる技術』

だいぶ前に読むのを中断していて、しばらくして完読。

【感想】
かなりの面白本!
読めば、よくここまで「笑い」を分析・体系化したなぁ、と感心してしまうはず。
しかも、それぞれの技術には、具体的事例のビフォーアフターまでついているという親切ぶりです。

しかし、総じてテンションがぶっとんでいるため、
これを適用するには、そもそもの時点で相当の空気読み+コミュニケーションスキルを要してしまいます。

また、個々人のキャラクターによって「ウケ」が似合うか否かなどもあるため
(実はこれも、カタブツキャラ用の「技術」が用意されていたりもするという用意周到ぶり…)、
自分はこうはなれないな、と思うことしきりでしたが(意味無いんじゃ…)、
ここまで整理されていると、少しずつ実践して50年後くらいには何か変えられているんじゃないか?という期待感を抱くことができます。


また最も学ぶべきは、「コミュニケーションはサービスである」という全技術の根底に流れている思想。
今日は気分がすぐれないから〜〜とか、自分はおもしろくないから〜〜、などと言う以前に
この、相手へのサービス精神がどこまであったかという、ストイックなまでのサービス精神に学ぶところが多かったです。


以上、「ウケる技術」を使って感想を書こうかと思いつつも、早くも無理を悟ったため、マジメにシメることにした次第です。


ウケる技術 (新潮文庫)
水野 敬也 小林 昌平 山本 周嗣
新潮社
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おすすめ度の平均: 3.5
3 斬新。爆笑。でもTPOには気をつけて。
3 参考書としてはいまいち
5 ウケることとは、人間関係に於いて優位に立つことだ!
5 いるよね、まったく受けることが出来ない奴
4 困ったことを言われて切り返せないときに

タグ:会話 ☆5
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(読書録)速水敏彦『他人を見下す若者たち』

【読んだ時間】90分程度

【読んだきっかけ】
ブックオフで安かったから。
自分も含めて学生が持ちがちなこういった心理に関心があったから。

【感想】
この記録を書くためにアマゾンの書評を覗いて、思わず納得してしまった。
一言で言って、特に前半に関してが酷い。
よく考えるとタイトルにも表れている通り、著者自身が若者を<若者>とひとくくりに扱い、
レッテルを貼り付けて見下しているから。

「はじめに」で著者自身が認めて(言い訳して)いるように、定量ではなく定性的側面で語られている。

数少ない定量「っぽい」データについても、調査の方法に問題があるように思う。
ひたすら教師や大学教授目線から見た<若者>像だから。
権力構造的に考えれば、多くの教師が生徒を「指導対象」として見ているのは明らか。
そのような中で、「昔の子は○○だったけど、今は〜〜」といった、定性としか言いようのないアンケートを集計して無理やり定量的にしているだけ。

唯一首肯できるのは、「仮想的有能感」と筆者が定義づけた心理についての記述。
こちらが後半に当たり、比較的納得しやすい。
でも、それもよく考えると、そんな新語を生み出さずとも「(幼児的)万能感」などといった従来からの言葉で説明できるものだと気づくのだけど。。

うーん、どうして最後まで読んじゃったのか思い出せない。


他人を見下す若者たち (講談社現代新書)
速水 敏彦
講談社
売り上げランキング: 56674
おすすめ度の平均: 2.5
3 すごいタイトル
2 あるある
1 若者を見下す速水氏
3 納得する部分あり
4 根は深い

posted by meg at 04:36| Comment(0) | 一般書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

(読書録)「週刊 ダイヤモンド 2010年 1/23号」

twitterユーザーとしてはやっぱり気になってしまい、
しかし買うまでの興味関心はなく、立ち読み(ごめんなさい)。

編集部がtwitter上で表紙・扉のアイコン掲載の大募集をかけていたり、
アマゾンで予約すると、アフェリエイトが全額Room to Readに寄付されるということでも話題になりました。


twitter特集については、想像していたより内容も濃く面白かったです。
ここで新たに知って、フォローしたアカウントもありました。
触ったことのない人にもわかりやすく、コンパクトにまとまっています。


個人的には、もうひとつの特集「就職ランキング」も気になりましたが、
こういったランキングの扱いには戸惑う部分も多いため、スルーで。
業界横断的に、母集団の違いも考慮せずにランキング付けしてもあまり意味が無いなと思ってしまうのですが、
景気変動だけは大づかみにキャッチされているので面白いなと思いました。


週刊 ダイヤモンド 2010年 1/23号 [雑誌]

ダイヤモンド社
おすすめ度の平均: 5.0
5 入門書
5 ツイッター・ランキングもよい!
5 あのダイヤモンドが…
4 これから始めようという人向き
4 Twitter+就職人気企業

タグ:☆3 就職 twitter
posted by meg at 04:11| Comment(0) | 雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

(読書録)「週刊 東洋経済 2009年 5/23号」

たまたま大学の図書館でバックナンバーが目に付いて、
なんらかの副業をしたいなと思っていたので手に取った。
(気が早すぎる・・かも)

資格を持っているだけではダメ、とはよく言いますが、
あらためて一覧で眺められたことが良かった・・かな?
エコノミスト(日本の)と東洋経済は、図解が上手いので重宝してます。

ところでこの雑誌がソースではないですが、保母の資格ってユーキャンで取れるらしいですね。
驚きでした。


週刊 東洋経済 2009年 5/23号 [雑誌]

東洋経済新報社
おすすめ度の平均: 3.0
3 資格の記事は自分にはあまりピンと来ず

タグ:☆3 副業 資格
posted by meg at 03:58| Comment(0) | 雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする